「姉貴が久しぶりに帰ってきてさ。俺はただの荷物持ち。誰かに見られてて最悪だよ」


なぁんだ、つまんないの。


机にうなだれる美琴にちょっと困ったような顔をする多賀くん。


夏美はまだ慣れてないらしく少し距離をとっていた。


「彼女をつくるつもりは無いのね」


「なに?俺の彼女になりたいの?」

「ばっかじゃないの」


また始まったよ、と夏美と私は目を合わせる。


仲はいいんだけどね。



「…あれ、夏美なんか香水つけた?いい香りがする」


「……えっ?わ、わかる…?」


一瞬の風と一緒に甘いお花の香りが鼻をかすめた。

聞いてみると、夏美はぽぽっと赤くなってもじもじしている。

…え、もしかして?


「これは、佐川先輩…からもらって」


「え、すごい!いいなぁ」


佐川先輩は私服もオシャレだったし、香水をプレゼントってセンスも抜群。

夏美とは付き合う手前で、最近2人でいるのもよく見かける。