「じゃ、そう言う感じだから。
メイクはピンク系で固めとけばバッチリだから。
それじゃあねー。」

親友はそう言って、私の家を出た。

私は手を振って見送った。

千夏を送り出したあと、私は、リビングでだらんとしていた。お母さんがおばあちゃんのくれたイチゴをダイニングテーブルの上に置いた。

イチゴを一人でたいらげようとする姉。
それを、止めるお母さん。

それをぼんやりと見つめる私。

ぶーっとふてくされる姉は、

「デート、楽しみだね。」

とニヤニヤしながら私に言ってきた。

「もう!黙っててよね!」

「ねえねえ、キスとかしたりした?明日のデートもキスするの?ねえ!」

キス。

その二文字で私はあの後夜祭のことを思い出す。
多分、顔は真っ赤だ。

そんな姉にお母さんは、「こらっ!」と怒り、姉はちぇーと言っていた。

キス、するのかな…。

私は自分の唇を触ってみた。