『んんっ、よ、よっちゃん!!』





『うわっ、ビビったー、』





『あ、一樹、かぁ、じゃあやっぱり夢?』





ベシッと男性に額を叩かれる鶯





『っ?!な、何すんのさ!』






『夢じゃねーよ、お前がいきなりいなくなって探してたらまさか過呼吸になって倒れてるとか』





荒牧一樹(あらまき いつき)、現在鶯と付き合って5年目。そして同棲中なのである。






『た、倒れた?!私が?!じ、じゃあよよよ、よっちゃん見なかった?!』






『よっちゃんって、お前まだあいつの事探してたのか?』






呆れる一樹






『あれはどう考えても事故だ、だから鶯が一人で抱え込まなくてもいーんだよ』





一樹はそう言いながら鶯の背中を優しく擦る。







『ごめんね、ごめんね一樹、ごめんね、、よっちゃん』







『泣きたい時に泣いとけー、ストレス溜まるからなー』






一樹はずっと変わらない。付き合った理由は私が一人じゃ生きていけなさそうだから俺がついてやらなきゃと思ったらしい。







私は一樹がいなかったら今頃、、とよく考えてしまう。






『あ、そういえば』





と、一樹はスマホを取り出しある連絡先を見せてきた。






『お前をカフェに連れていってくれた親切な人が連絡先を教えてあげてって、まぁ、よく見たらよっちゃんに似てるわ』






『あ、麻海さんが?!』







私はすぐにその連絡先を自分のスマホに登録した。






『一樹、私は一人で抱え込むというより謝りたいの』







『は?謝る?だからあれは事故だろ?』







『でも、一樹、あの時、、・・・やっぱなんでもない』






『?、まーどーでもいいけど』








それから私は麻海さんの連絡先をずっと眺めていた。





『(もし、もしも何かしらよっちゃんと繋がりがあるのなら、私は貴方に賭けたい)』







そう心に呟く鶯であった。









『偶然すぎるぐらい運が良すぎるわ、私』






麻海はこっそりスマホで撮った鶯の顔を眺めていた。







『あの子ね、鶯ちゃんってのは』







ある写真に向かって麻海は喋りかける。







『私、何も知らないからさ、頑張って突き止めるから、見ててね?喜海(よしみ)姉さん』







麻海の呟いた言葉は誰にも届かなかったのであった。