『見つけた、見つけた!』



泣きじゃくりながら街中のど真ん中で一人の女性が大きな声で叫んだ。




周りの人々は女性を変人扱いし流し目でヒソヒソと話している。




「こわ~(笑)」とか「なんだ?感動の名場面か?」やらと声が聞こえる。




まぁ、泣いている女にはそんな声届いていないのだけれども。




『ようやく、あの時の、やっと、絶対に!わかってたんだ!よっぢゃん!!』




勢いよく人の肩を掴む女、夏縞鶯(なつじま うぐいす)




『えっ、』




『やっと、やっと会えた!ずっと謝りたかったのに!私っ!私!』




『ま、待って!ちょっとよくわからない。本当に、ね?』




『・・・・よっ、、、ちゃん?』




『うーん、私の名前は麻海、緒栂井麻海(おとがい あさみ)です。人間違いでごめんなさい、ね?』




『嘘、うそぉだぁ!!』




謝りたい。許してもらいたい。




あの時の本当の"真実"を知ったまま生きていくなんて。




『よ、よっちゃん』




心で何回謝ったのだろう。




鶯は街中のど真ん中で座り込んでしまったのであった。




絶望と悲しみが混じりあった鶯はそこで頭を抱えるのであった。




『と、取り敢えずその辺のカフェにでも入りませんか?』




そういって鶯をゆっくり立たせ、近くのカフェに入っていく2人。




チリーンリーン




「いらっしゃいませ~、2名様で宜しいですか~?」




『はい、そうです。』





「こちらへどうぞ~、お連れ様にすぐ水をお持ちいたしますね~?」





『あ、すみません』





麻海は鶯を席にゆっくりと座らせる。





『す、すみません。ありがとうございます。』





『そろそろ水が来ると思うから。』





『・・・・(本当に似てる)』




鶯はマジマジと麻海の顔を無意識に見ていた。






「お客様~、お水です~。ごゆっくり~。」




鶯は水を一気に飲み干す。余程水分が足りなかったのだろうと麻海は思っていた。




『それで、貴方の名前は?』





『あ、夏縞鶯といいます。』






『鶯?あの鳴くよ鶯平安京の?』






『え、うん』







__えー!鶯?!あの鳴くよ鶯平安京の?!__






『?!』






鶯は一瞬幻覚が麻海と重なってしまった。よっちゃんの幻覚と。






『?、おーい?生きてるかー?』





麻海は時が止まった鶯に手を顔の前で振る






『あっ、す、すみません!』





『そのー、何ちゃん?って言ってたっけ?』





『あ、よ、よっちゃん』






『本名とかわかんないの?』





『ほ、本名?』






__私_____________!よっちゃんって呼んでね!可愛いでしょ~!__





『あ、っと、ごめんなさい、本名知らなくって』






『はぁ?!』






麻海はあんぐりと口を開けていた。






『本名も知らないで探してたの?てか何?どんな関係?いつから捜してるの?』






『えっと、と、友達?高校1年だからもう5年目かな』





『・・・・えー』





麻海は明らかにめんどくさいという顔をしていた。






『で、何で?捜してるの?』






『えっと』






__大丈夫だから、鶯は気にしないで!__






『その』






__鶯、私、やってない、から!!__






『あのですね、』







__鶯は、鶯だけは私を信じてくれるよね?__






『はぁっ、はぁっ、っっ、よ、よっちゃん』






『え?!ちょっと、う、鶯さん!!』





『よっちゃん、よっちゃん、よっちゃん、よっちゃん、よっちゃん、よっちゃん、よっちゃん、よっちゃん、よっちゃん、よっちゃん、よっちゃんっっっっ!!』





過呼吸をおこしてしまった鶯は椅子から転げ落ち倒れてしまった。






よっちゃん






『鶯さん!!』






__鶯!!__






やっぱりあの子は







『よっちゃん』







鶯はそのまま意識を手放してしまったのであった。