・・・よし、何とかここまで来た。



最強のライバル、中尾を倒して、最終決戦の直前。



夏休みの練習の成果が現れていて、身体は疲れているけど調子はいい。



ここで勝てば・・・もっと高みを目指せる。



そして、ここで勝っても負けても、まだ勝負は残っている。



_______________僕はこの部内リーグのあと、宇崎さんに告白する。



ふーっと息を整えながら集中していた僕のもとに、最終決戦の相手である米山がやってきた。



正直、苦手なタイプというか、あまり関わりたくはないタイプの人間で、試合展開も僕が苦手とする長いドライブの応酬。



だけど、その弱みも克服しつつあるから、落ち着いて打てばいける。



「楽しみだな、この試合」



「そうだな」



「なぁ、ちょっと取引しないか?」



「・・・試合に取引は必要ないだろ」



米山の考えていることはわからない。



何で取引なんかする必要があるんだ・・・。



怪訝そうに眉を顰めた僕の耳もとに、米山はとんでもないことを囁いた。