無言のまま廊下を歩く女子二人。
「…さっきはごめんね?」
沈黙を破ったのは意外にも真由さん。
あたしは驚いて思わず足を止めた。
「…何?」
「いや、なんでもない」
なんか失礼な事考えてるでしょ?と、
不機嫌そうに頬を膨らませる真由さん。
…案外普通の子、なのかな?
「真由ね、すごく意地っ張りなの。
だからさっき謝れなかった…ごめん。」
「大丈夫だよ、気にしないで」
そういえば男子のリレーの結果は、
一体どうなったんだろうか…。
歓声の盛り上がりが凄い事は分かった。
『コンコン』
「失礼します」
「あら、月乃と…あぁ、栗山さん。
随分カオスな怪我ね…いらっしゃい。」
お色気先生は相変わらず今日も美人。
今日も白衣からは嗅いだことのある、
煙草の匂いが微かに香る…誰かが、
この匂いしてた気がするんだよなぁ…。
「いったぁ!痛い!!先生!!!」
「大丈夫よ、月乃の方が痛いから。」
「ひぇ、先生…そんな事言われたら、
身構えちゃうんですけど!!!」
はぁ…痛かったぁ…。
両膝、両手に擦り傷…深いというより、
浅く広い滲みる系の傷だった…。