無名ファイル1


「次はバラエティーの収録です、
では車に案内致しますね!!」

「はーい!」

レン君と対称的に全く話さないホタル。

もしかして勝手に見に来て怒ったかな。

「はぁー、猫被り…だるい。」

車のドアが閉まった途端に、

首をゴキゴキならし始めた霧島君。

王子様の面影は更々ない。

「てめぇ、もっと上手く切り替えろ。
あんたもなんでそんな死人みたいな、
青白い顔してんだよ、気が狂うな。」

「すみません、やっぱり帰ります…」

駄目…やっぱり今日はもう無理だ。

「…魅香、仕事が終わったら話がある。
だから終わるまで待っていてほしい。
俺はレンとは違う…切り替えが下手だ。
少し、時間がほしい…。」

蛍の手は…変な汗をかいていた…。

凄く困った顔で私の手を掴んだのだ。

「分かった」

私はただそれしか言えなかった。

全ての仕事や用事を終えるともう夕方。

先程まで完璧アイドルだったホタルは、

家のドアを閉めた瞬間に玄関で、

溶けるように崩れ落ちたのだ…。

「え!?蛍、大丈夫!?」

「ん、疲れた…バラエティー苦手。」

久々に蛍とちゃんと話してるな。

「そっ…かぁ」