ジェットコースターのようにお見合いから結婚した私は、一ノ宮茉奈花となって三年が経っていた。
結婚してからも桜木総合病院で医院長秘書として仕事を続けていたし、その合間には雅貴さんの奥さんとしてもパーティー等に参加したりしていた。

そんなふうに過ごして現在、私の周りは過保護に拍車がかかっている。

「茉奈花、またひとりで買い物に行ったのか!?僕が行くからって言ってるのに」

夕方早めに帰宅した雅貴さんは、ちょうど少し前に帰宅して買い物をしまっていた私をみつけて言ってきた。

「雅貴さん、マンション下のスーパーからの買い物くらい動かないと。この子も楽しんでたのよ?ねー、ちびちゃん」


現在私は妊娠八ヶ月、二人で過ごしてそろそろと思った頃にやってきた赤ちゃんを桜木家も一ノ宮家も皆楽しみにしてくれている。

一ノ宮のご両親は初孫として、それはそれは楽しみにしていて現在私たちのマンションの一室はベビーグッズで溢れている。

ご両親のみならず雅貴さんも買ってくるので服やら靴やら帽子と既にお店?というレベルで揃っている。

そして八ヶ月に入ると目に見えてお腹が出てきたので、周りがすごく心配するのだ。
伯父の秘書として、仕事していても伯父まで度々座って休めと言ってくる。


私の担当医はもちろん桜木総合病院の産婦人科で勤める義姉の希代美さんだ。


希代美さんには検診の度に「雅貴さんや伯父さんが過保護過ぎて困る」と愚痴を聞いてもらっている。

希代美さんいわく、浩太朗兄さんも似たようなところがあったけど、医者故に落ち着いたのよと苦笑していた。

そうして、過保護な人達に心配されつつの妊婦生活は順調に進み、私は臨月に入った。