この声で、キミに「好き」と伝えたい。

あたしはというと、オーストリアから帰国後、とある大学で歌の講師として働いている。


自分の歌で、高みへ目指すことはやめた。

その代わり、今よりも高く羽ばたこうとする学生の力になるために、この仕事を選んだ。


そして、好きなときに歌う。

だれにも邪魔されない、自分が歌いたいときに。



日本に戻ってきてから、1年後。

あたしと豹くんは、マンションの一室を借りて、いっしょに住み始めた。