この声で、キミに「好き」と伝えたい。

「さようなら」さえも言えずに、豹くんはある日突然転校してしまったのだ。


上級生から守ってくれたり、あたしの歌を褒めてくれたり、ときには歌のレッスンの愚痴を聞いてもらったり――。

たくさん伝えたいことがあったのに、豹くんはなにも言わずにいなくなってしまったのだった……。



豹くんがいなくなったからと言って、あたしに悲しむ暇なんてなかった。


これまで以上に、ママのレッスンが厳しくなる。