この声で、キミに「好き」と伝えたい。

「その空いた1枠は……。千歌、キミが出るんだよ」


思いも寄らない衛斗の言葉に、口に運ぼうとフォークに刺していたムニエルのかけらが、ぽろっとお皿の上に落ちた。


「…は?今…なんて?」

「だから、キミが出場するんだよ。ムーサ声楽コンクールに」


今すぐでは、衛斗の言っている意味がよくわからなかった。


声を失くして、音大からの推薦が白紙になったとき、このコンクールのことを知った。