アイツの溺愛には敵わない


「話って、もしかして晩ご飯の後のこと?」


「うん」


“やっぱり”と言わんばかりに颯己の表情が固くなる。


そんな彼の手の上に、私は自分の手を重ねた。


「あの時、颯己の言動に驚きや戸惑いはあったけれど、不安な気持ちは無かったよ」


「えっ?」


「だって狼の状態になったとしても、颯己は颯己でしょ?そう思ったら、逆に安心感が芽生えたんだ」


私の言葉が予想外だったのだろうか。


颯己の目が大きく見開く。


真っ直ぐ向けられる眼差しを受け止めながら言葉を続けた。


「それとね、昨日……別々に寝たのが少し寂しかったというか、物足りないように感じてる自分がいて。私も颯己にもっと触れたいのかもしれない……です」


照れくさい気持ちを濁したくて、丁寧語になってしまった語尾。


火照りだす顔。


荒く波打つ鼓動。


視線を泳がせていると、ギュッと抱き締められた。


「何それ、嬉しすぎるんだけど」


弾んだ声が降ってくる。


颯己の背中に手を回すと、耳元に吐息がかかるのを感じた。