激おこ転生幼女のモフモフ無双!

「先ほどの忠告にひとつ補足をしたい。ドラゴンとは別に、領主令嬢フローラの無邪気な振る舞いにも細心の注意を払え。彼女は時に、ドラゴンにも負けず劣らずの極悪非道な所業をみせるぞ」
 ユルグさんの介抱を終えて訓練に戻ったフレディが、終礼の場で蒼白で付け加えた台詞を、騎士たちは本気にはしなかった。
 さもありなん。真剣モードで訓練に勤しむ彼らは、私の所業を見ていない。いたいけな幼女の私が極悪なんて、誰が信じるはずもないのだ。
「やだ。フレディってば、冗談がうまいんだから」
「本当ッスね! まさかフレデリック団長が冗談を言うなんて、なんか意外ッス!」
 私がコロコロと笑えば若手騎士のアレクさんが同調し、他の騎士たちからも笑い声があがった。
「とはいえ騎士団長、こんなに可愛いフローラちゃんがドラゴンに負けず劣らずの極悪非道というのはさすがに無理がありますよ。なぁフローラちゃん」
「ふふっ」
 フレディの胡乱げな視線だってなんのその。私はぽふぽふと頭を撫でてくれるマックスさんに向かって、無邪気に微笑んで頷いた。