「僕はね、誤って人間を殺した場合、神界としてどんな対処を行うのか、どうしても検証がしたかったんだ。だって、この件に関しては、業務マニュアルに記載がないんだ。そして、課長も知らなかった。東日本統括部長に指示をあおいだってことは、これは神界においても執行役員にしか情報共有されていないトップシークレットってことだ。君のおかげで、そのシークレットに切り込めた。これは将来、僕がトップに登り詰めるために、きっと役立つ」
 ……こいつ!
 先ほどの無能な課長が、人間臭く、いっそ可愛く思えてきた。こいつは、私や奴の手に負えるものじゃない。だったら――。
「……ちょうだい」
「え?」