《……ほう! まさか、爺やまでやってくるとは予想外だったな。だけどスカーレット、これで私は少し肩の荷が下りたよ。はねっかえりの君を押さえるには、私だけでは少々心許なかったからね》
《まあ! フレンドラったらひどいんだから》
 フレンドラさんの言葉に、スカーレットは不満げに頬をふくらませ、ぺっちんぺっちんと尾っぽを床に打ち付けた。
「爺やって、あの子のこと……?」
《ああ。爺やはスカーレットの生誕から城に仕える最古の竜だ。スカーレットも、唯一爺やにだけは頭が上がらないんだ》
 問いかけには、おかんむりのスカーレットに代わり、フレンドラさんが答えた。
 え? 爺やさんは、唯一スカーレットを「めっ」てできる……? それって、ラスボスの上をいく、シークレット級ってことじゃない!?
 ……ヤバイ。彼はとてもじゃないけれど、私が「あの子」だなんて呼んでいい存在じゃない。
 大層なドラゴンの登場に、目眩がした。
 その時、件のドラゴンが、クイッと首を巡らせる。私とお爺ちゃんドラコンの視線が、バチッと絡んだ。