激おこ転生幼女のモフモフ無双!

 ドラゴンは、直視すら憚られる神聖な存在で、人の身で彼らを手なずけることは不可能。それがなせたのだとすれば、既に只人の範疇を越えている。
 それは神の加護を受けたのと同義で、ひいては、フローラ自身が神と同格の崇拝を受けるに足る尊い身の上ということなのだが、彼女はそこをまるでわかっていなかった。
 フローラはドラゴンを「お友だち」と表し、「モフモフたちを危険な目に遭わせるなんて、絶対にいや!」と、こう告げた。
 彼女が口にしたこの台詞に、俺は目が覚める思いだった。友を危険から遠ざけようとするのは、人として至って真っ当な反応だ。
 そうしてその危険は、俺たち騎士が負うべきもの。どんなに状況が苦しかろうと、神獣たる彼らに体よく片棒を担ってもらおうなど、端から思っていいものではなかったのだ。
 真っ直ぐに俺を見据える、宝石よりなお透き通る紫の瞳が、俺にそれを知らしめた。
 ……情けない。ほんの十年しか生きていな少女の方が、俺よりもよほど、物の道理を弁えているではないか――。