「まぁ、ほほほっ。陛下ともあろうお方が、ずいぶんと頭の固いことをおっしゃる。そんなのは扉のフレームごと外してしまえばよいだけの話ですわ。もちろん、テラスで応対してもよいのですけれど、天候によってはそうもいきませんものね」
「なるほど、たしかに僕は頭が固かった。やはり君は僕の女王だ。近々に大工を呼んで、扉は外しておこう」
……俺に言わせれば、頭が固いどころか、陛下ほど柔軟な君主はいない。
「それでは陛下、王妃様、自分は一度騎士団に戻ります。御前を失礼いたします」
「ああ、よろしく頼んだ」
「伝言を忘れないでちょうだいな」
俺は微かな眩暈を覚えながら、王の居室を後にした――。
◇◇◇
意識が今へと舞い戻る。
「……いとし子、か」
肩を怒らせて居間を飛び出して行った小さなうしろ姿を思いながら、ポツリと呟く。
それにしても、王妃様はどこまで見通しておられたのか。
普通なら、人の身で神の協力をあおごうなど考えつきもしない。しかし、その神を王宮に招こうと整然と口にする王妃様だ。
「なるほど、たしかに僕は頭が固かった。やはり君は僕の女王だ。近々に大工を呼んで、扉は外しておこう」
……俺に言わせれば、頭が固いどころか、陛下ほど柔軟な君主はいない。
「それでは陛下、王妃様、自分は一度騎士団に戻ります。御前を失礼いたします」
「ああ、よろしく頼んだ」
「伝言を忘れないでちょうだいな」
俺は微かな眩暈を覚えながら、王の居室を後にした――。
◇◇◇
意識が今へと舞い戻る。
「……いとし子、か」
肩を怒らせて居間を飛び出して行った小さなうしろ姿を思いながら、ポツリと呟く。
それにしても、王妃様はどこまで見通しておられたのか。
普通なら、人の身で神の協力をあおごうなど考えつきもしない。しかし、その神を王宮に招こうと整然と口にする王妃様だ。



