「飛行数の統計を取ることはできましても、人の身にあって神の思惑までは図りかねます」
「それもそうね。……けれど、もしかすると『いとし子の生まれし地に竜は集う』。これは、まるっきりのでまかせでもなかったのかしらね」
「王妃様!? 今のはどういう意味でしょう!?」
「これは人伝に聞いた話……」
噛り付くように問う俺に、王妃様はこんな前置きをしてゆっくりと話し始めた。
「かつてその人が暮らしていた村に、百を越えて生きる老婆がいたそうよ。貧しい村にあって、働けぬ老人はただでさえ厄介者。その上老婆はよく意味の分からぬことを口走ったから、家族にも疎まれ見捨てられた。その老婆が、よく口走っていたのが先の台詞。誰もが妄言と思って疑わなかったからその謂れや真意を尋ねることはもちろん、打ち捨てられた彼女に手を差し伸べることもしなかった。やがて老婆は枯れるように土に還った」
俺は返す言葉に窮した。
「……と、その人が言っていたわ。どちらにせよ、今となっては確認する術はないわね」
「それもそうね。……けれど、もしかすると『いとし子の生まれし地に竜は集う』。これは、まるっきりのでまかせでもなかったのかしらね」
「王妃様!? 今のはどういう意味でしょう!?」
「これは人伝に聞いた話……」
噛り付くように問う俺に、王妃様はこんな前置きをしてゆっくりと話し始めた。
「かつてその人が暮らしていた村に、百を越えて生きる老婆がいたそうよ。貧しい村にあって、働けぬ老人はただでさえ厄介者。その上老婆はよく意味の分からぬことを口走ったから、家族にも疎まれ見捨てられた。その老婆が、よく口走っていたのが先の台詞。誰もが妄言と思って疑わなかったからその謂れや真意を尋ねることはもちろん、打ち捨てられた彼女に手を差し伸べることもしなかった。やがて老婆は枯れるように土に還った」
俺は返す言葉に窮した。
「……と、その人が言っていたわ。どちらにせよ、今となっては確認する術はないわね」



