「ほほほ。ならばジョセフ、あなたは命尽きるその瞬間まで働き続けて? そうして半島中の土地を、あなたの手中に収めておしまいなさいな。ユーンデル王国に吸収されて反発する民なんてどこにもいない。国民レベルでは、皆があなたの統治下に置かれることを望んでいる。『エスメラーダ半島の良識』と呼ばれるダブダーン王国だって、実体は言論や情報を厳しく統制し、その上で政治体制を維持している。本当の意味で自由なユーンデル王国民とは違う」
王妃様はおっとりとした優美な口調で語る。しかし、艶やかに紅が引かれた唇から紡がれる一言一句は、触れれば切れるように鋭い。
「私だけが移民としてユーンデル王国に帰属して、その恩恵を享受する。これでは、かつて共に草の根を噛んで過ごした同郷の仲間たちに顔向けができませんでしょう? ですからジョセフ、あなたは私の心の安寧のため、これからも働いてちょうだいな?」
王妃様はおっとりとした優美な口調で語る。しかし、艶やかに紅が引かれた唇から紡がれる一言一句は、触れれば切れるように鋭い。
「私だけが移民としてユーンデル王国に帰属して、その恩恵を享受する。これでは、かつて共に草の根を噛んで過ごした同郷の仲間たちに顔向けができませんでしょう? ですからジョセフ、あなたは私の心の安寧のため、これからも働いてちょうだいな?」



