膝上で拳をギリリと握り締め、俺は三日前の陛下との接見に思いを馳せた――。
◇◇◇
「では、フレディはモーリダ領に滞在し、モッツァー皇国の動向を探ってくれ。なにか動きがあれば、逐一鷹を飛ばしてくれ」
「承知しました」
ユーンデル王国騎士団は、十年ほど前から鷹の調教を専門に行う隊を作り、鷹による伝書手段を確立していた。これにより、早馬による伝達とは桁違いに早い情報共有が可能だった。
「なぁフレディ、僕は思うわけさ」
俺のモーリダ領行きと、今後の防戦対策についての協議を終えた後で、陛下がおもむろに口を開いた。
「たしかに我がユーンデル王国は資源に恵まれて、相対的に見ても豊かだ。しかしその資源は、戦争をしかけ、多くの死傷者を出してまで得る価値のあるものだろうか? さらには、人の欲望というのは果てがない。モッツァー皇帝を筆頭に、理性に劣る近隣諸国の愚君らに、その傾向は一層顕著だ。奴らは我が国の資源を得て満足すれば、きっとさらに欲しがって、次の戦争行動に移る」
◇◇◇
「では、フレディはモーリダ領に滞在し、モッツァー皇国の動向を探ってくれ。なにか動きがあれば、逐一鷹を飛ばしてくれ」
「承知しました」
ユーンデル王国騎士団は、十年ほど前から鷹の調教を専門に行う隊を作り、鷹による伝書手段を確立していた。これにより、早馬による伝達とは桁違いに早い情報共有が可能だった。
「なぁフレディ、僕は思うわけさ」
俺のモーリダ領行きと、今後の防戦対策についての協議を終えた後で、陛下がおもむろに口を開いた。
「たしかに我がユーンデル王国は資源に恵まれて、相対的に見ても豊かだ。しかしその資源は、戦争をしかけ、多くの死傷者を出してまで得る価値のあるものだろうか? さらには、人の欲望というのは果てがない。モッツァー皇帝を筆頭に、理性に劣る近隣諸国の愚君らに、その傾向は一層顕著だ。奴らは我が国の資源を得て満足すれば、きっとさらに欲しがって、次の戦争行動に移る」



