さらに、モッツァー皇国との戦争危機とは別にもう一点、陛下と俺には憂慮があった。それは、エスメラーダ半島にある四国の中で唯一大陸本土と接っしている北の大国ダブダーン王国だ。
大国だけあり、彼の国は半島内の小競り合いやいざこざの際に、自ら手を挙げて調整役を担うことが多かった。我が国含め、半島内の他二国においても「エスメラーダ半島の良識」というのが、ダブダーン国王その人の通称だった。そのダブダーン王国が、此度のモッツァー皇国の進軍行為に対しては、なぜかずっと沈黙を貫いていた。
解せないことではあったが、待ったなしの状況下にあってダブダーン王国の仲裁をあてにするよりも、早急に自国の体勢を整えてモッツァー皇国の進軍に備えるというのが俺と陛下の共通認識だった。
「ドラゴンの協力が得られずとも、俺たち騎士がユーンデル王国を守ればいい。……なに。もともと、その予定だったのだ……っ」
己を鼓舞するように呟くが、一旦ドラゴンの協力に期待を抱いてしまったために、落胆は隠せなかった。
大国だけあり、彼の国は半島内の小競り合いやいざこざの際に、自ら手を挙げて調整役を担うことが多かった。我が国含め、半島内の他二国においても「エスメラーダ半島の良識」というのが、ダブダーン国王その人の通称だった。そのダブダーン王国が、此度のモッツァー皇国の進軍行為に対しては、なぜかずっと沈黙を貫いていた。
解せないことではあったが、待ったなしの状況下にあってダブダーン王国の仲裁をあてにするよりも、早急に自国の体勢を整えてモッツァー皇国の進軍に備えるというのが俺と陛下の共通認識だった。
「ドラゴンの協力が得られずとも、俺たち騎士がユーンデル王国を守ればいい。……なに。もともと、その予定だったのだ……っ」
己を鼓舞するように呟くが、一旦ドラゴンの協力に期待を抱いてしまったために、落胆は隠せなかった。



