激おこ転生幼女のモフモフ無双!

 この瞬間、九分九厘モッツァー皇国の未来が決まった……。
《こらこら、ハニー。くすぐったいよ》
 ……南無三。私は、キャッキャウフフと盛り上がる二匹にくるりと背中を向けると、モッツァー皇国の方角に向かって心の中で唱えた。

***

 俺の制止を振り切って、フローラが居間を飛び出した。
「クソッ!」
 ひとり取り残されたソファで、俺はクシャクシャと頭を掻きむしりながら、己の失態に悪態を吐いた。
 陛下からの要請によって、モッツァー皇国との隣接領であるモーリダ領に赴任が決まったのは、僅か三日前のことだ。ユーンデル王国騎士団の長たる俺が、直々にモーリダ領に赴くのも、これだけ準備期間が短いのも、裏を返せば、我がユーンデル王国の置かれた状況がそれだけ逼迫しているということだった。