激おこ転生幼女のモフモフ無双!

「いまだ、この状況が信じられん。……モーリダ領主、どうしてドラゴンの懐柔に成功していたなど、かような重大事を報告してこなかったのだ?」
「い、いえ! フレデリック様、私も娘にかような友がいるなど、今日初めて知ったのです」
「なんと……!」
 中庭で念願のモフモフに全身でもふんっと沈み込んだ私の耳に、遠く騎士団長とパパの会話が届く。
 魅惑のモフモフに蕩け切った脳みその片隅で、「大人は色々大変ね~」と他人事のように思った。



 パパの仕事は、物凄く早かった。強請って三時間後には、チョコレートファウンテンのセットが業者から配達された。
 ――もっしゃ、もっしゃ。――ぱくぱく。
 ――むしゃ、むしゃ。――ぱくっ、ぱくっ。
「ねぇスカーレット、いい加減太るわよ?」
 チョコレートファウンテンの前を陣取って、かれこれ一時間は離れないスカーレットの背中に声を掛ける。
 ちなみにこの一時間、私はチョコレートファウンテンには見向きもせず、ふりふりとご機嫌に揺れ続けるモフモフの尾っぽをつついて、とろけていた。