「ええ。兄の死から十一年という長きを経て、彼女がこれに気づかせてくれました。ですので、新たな命にはどうか新たな人生を。男児であっても、女児であっても、両親であるあなたたちから人生の始まりを祝した名を授けてあげてください」
「……あぁ、そうしよう」
「フレディも王様も、そんな隅っこでなに内緒話してるのー!? ここのショーは、どれもすっごく面白いのよ。こっちでこれから始まるマジックショーを一緒に観ようよー!」
 ちょうど話に一区切りついたタイミングでフローラがパタパタと駆けてきて、左右からそれぞれ俺たちの腕を引く。
「どれ。そのマジックのタネを暴いてやるとするか」
「うわぁ! 王様ってばせっかく見直したところだったのに。さすがにその発想は、根性悪すぎよ!」
 フローラの登場でしんみりとしていた空気が一転、カラッと晴れやかに変わる。
「僕に向かってそんな台詞を真正面からぶつけてくるのは君くらいのものだ」
「ふふふっ。誉め言葉と受け取っておくわ! それより早く早く、始まっちゃうわ!」