「あ、そうだわ! ねぇ赤ちゃん、ママとパパが帰ってきたら、ちゃんとした名前を付けてもらうけど、名前がないと不便だし、ひとまずはヴィヴィちゃんって呼んでもいいかしら? あなたのヴィヴィッドピンクはとっても素敵だもの」
「ぴぃ!」
 返ってきた声が嬉しそうに聞こえたのは、きっと気のせいではないはずだ。
「よしっ、それじゃあ決まりね。よろしくね、ヴィヴィちゃん。それから、私はフローラよ。あなたのママとパパと、お友だちなの」
「ぴぃ」
「ふふっ、なんて可愛いのかしら」
 うっとりと囁いて、しかし、そのやわらかさと温もりをこの手で確かめられないことが切なくて堪らなかった。
「……残念だわ。手が自由なら心ゆくまで抱きしめられるのに」
「ぴぃっ」
 私の呟きに、ヴィヴィちゃんはちょっとだけ得意げに嘶いて、ふわりとポケットから飛び出した。
 わぁ~! 幼くても、さすがは空飛ぶドラゴン。ヴィヴィちゃんは小さな羽をぴっこぴっことはためかせて宙に浮きあがると、私の背中へと回り込む。
「ヴィヴィちゃん? どうかしたの?」