ん? 可愛らしい野花が咲き乱れる春のお庭に踏み出してすぐに、誰かのすすり泣きが聞こえてきた。
一番に、お隣のモリスが思い浮かんだ。さてはまた、おば様にとっちめられて、泣きながらうちの庭に逃げてきたに違いない。
私はすすり泣きが聞こえてくる、奥の茂みに向かった。木の陰からひょろりと飛び出た、ベビーピンクのモフモフを視界に捉え、苦笑が浮かんだ。
……やだ、モリスってば、今日は毛布まで持参してうちの庭に逃げて来たのね。それにしても、ずいぶんとモフモフとした、柔らかそうな毛布だわね。
「モリス~? また悪戯して怒られたの? クッキーを分けてあげるから、出ておいで~」
茂みを分け入り、いつもの気安さで声を掛けた。
「スンッ、スンッ……きゅ?」
こちらを振り向き、可愛らしく「きゅ」っと鳴くソレを目にした瞬間、目玉が落っこちそうになった。口は「出ておいで」の「で」の形で固まっていたが、徐々に下顎が下がり、顎が外れるギリギリまで下がったところで止まる。
そのまましばし、岩と化した。
一番に、お隣のモリスが思い浮かんだ。さてはまた、おば様にとっちめられて、泣きながらうちの庭に逃げてきたに違いない。
私はすすり泣きが聞こえてくる、奥の茂みに向かった。木の陰からひょろりと飛び出た、ベビーピンクのモフモフを視界に捉え、苦笑が浮かんだ。
……やだ、モリスってば、今日は毛布まで持参してうちの庭に逃げて来たのね。それにしても、ずいぶんとモフモフとした、柔らかそうな毛布だわね。
「モリス~? また悪戯して怒られたの? クッキーを分けてあげるから、出ておいで~」
茂みを分け入り、いつもの気安さで声を掛けた。
「スンッ、スンッ……きゅ?」
こちらを振り向き、可愛らしく「きゅ」っと鳴くソレを目にした瞬間、目玉が落っこちそうになった。口は「出ておいで」の「で」の形で固まっていたが、徐々に下顎が下がり、顎が外れるギリギリまで下がったところで止まる。
そのまましばし、岩と化した。



