激おこ転生幼女のモフモフ無双!

 同時に、ママという人の、懐の深さに尊敬の念が湧き上がる。今世で、望んだモフモフとの出会いは叶わなかった。けれど、ママの娘に生まれてこられたこと、それだけで転生した意味があったのだと、そう思えた。
「ママ、大好き」
「ふふふ、ママもフローラが大好きよ。さぁフローラ、クッキーがそろそろ焼き上がる頃だわ。生地にあなたが煎じた香草を細かく刻んで練り込んであるの。一緒にオーブンを見にいきましょうか」
「うんっ!」
 私は大好きなママの横をスキップでキッチンに向かった。
 ちなみに、ここで「うわー、精神年齢三十二歳のスキップって痛いわ~」と羞恥に苛まれずに済んでいるのは、私が”フローラ”だから。
 言葉で表現するのは難しいが、”花子”の記憶というのは、本や映画で観て知っているという感覚が一番近い。
 たしかに私は、前世で”花子”として生きた二十二年分の記憶を持っている。だけど今世で”花子”の続きの人生を生きているわけじゃない。