腕の中のランチボックスをキュッと抱き締めると、静かにフレディの横に並ぶ。彼は客室に足を進めながら、急に静かになった私を時折訝しげに見つめていた。

「フレディ、まだ起きてる?」
 二人でランチボックスを平らげて、横並びのベッドにもぐりこんでしばらく経ったところで小さく声をあげた。
「ああ、どうかしたか?」
「……今日はごめんね」
「君から謝罪を告げられるのはこれが二度目だな。本音を言えば、制止も聞かずに再び向こう見ずな行動に出たこと、俺はもどかしく感じているし、怒ってもいる」
「うん」
 ここで、二人の間に沈黙が満ちる。
 ……フレディはもう、勝手な行動ばかりする私に呆れてしまっただろう。
「だが、前にも言ったはずだ。君は、俺が守るべき大切な国民のひとりだ。どんなに君が勝手をしようが、俺はあらゆる手を尽くして君を助ける」
 長い間を置いてフレディから告げられたのは、予想だにしない言葉だった。嬉しくもあり、だけど同時に、並々ならぬ重さを感じるその台詞にほんの少しの違和感も覚えた。