ノックの後、子供部屋にパパが顏を覗かせた。栗色の髪と印象的な紫色の目をしたパパはダビデ像が人型を取ったのか!?って勢いの渋みがかったイケメンさんで、同じく美の女神アフロディーテが人型になっただろう!?ってレベルに綺麗なママと、とってもお似合い。自分の両親でありながら、パパとママは目の保養になっちゃうレベルの美男美女カップルなのだ。
 だけど今日は、そんなパパの表情がちょっと暗い……?
「やはり、モッツァー皇国の皇帝の代替わりにより、これまでの融和路線から強硬路線へ転換がありそうだ。もちろん、すぐにどうこうというわけではない。現状では、国境沿いの警戒を強めることで、話はまとまった」
 ちなみにパパは、隣国モッツァー皇国との国境沿いに位置するここ、ユーンデル王国モーリダ領の領主様だったりする。だから、国の有事ともなれば、領民の命を守るために先陣切って出陣もする。
 ふかふかなお椅子でふんぞり返って決裁書類に判を押すのが仕事と思いきや、実は領主様というのも、なかなか大変なお仕事なのだ。