幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜

「ひかり?」


岩橋さんの声が、部室に響いた。


部室の外には練習着に着替えた岩橋さんがいて、驚いたようにひかりさんを見つめていた。


ひかりさんは気まずそうに岩橋さんから視線を逸らし、彼女の横を足早にすり抜けようとする。


「ひかり!」


岩橋さんがもう一度、語気を強めてひかりさんの名を呼ぶと、ひかりさんは振り返らずに足だけ止めた。


「どうして部活に来ないの?嵐役だけが舞台を創るんじゃないんだよ?部員たちのことは私がちゃんと説得するから、」


岩橋さんの声を、「私は」というひかりさんの声が遮る。


「私は、嵐役に懸けてたの」


強く、しっかりしていたけど、泣きそうな声だった。


ひかりさんはそのまま立ち去ってしまい、その場にはあたしたちと岩橋さんだけが残された。


あたしたちは何も言うことが出来なくて、ひかりさんが立ち去った方向をただ見つめていた。