「なぜ泣く!?」


「だっ、だって…朝比奈くんって全然私のこと好きじゃないんだなって…思って…」


「……はぁ?」


「前からなんだけど!前から私が一方的に大好きなんだけど!でも、一瞬でも気まぐれでも、振り向いてくれたから…もっと近づきたいっていうか…欲張りになっちゃって…」


「………」


「欲深い女でごめんちょっと出家してきます!!」


「待て」




走り出そうとした瞬間手首をつかんで止められた。




「…意味わかんねーんだけど。宮原の言ってることも突然出家する意味も」


「出家すれば煩悩も少しは消えるかなと思って…」


「俺が宮原のこと好きじゃないって?」




グ、と朝比奈くんの手に力がこもったような気がした。



朝比奈くんの瞳が鋭く私を射抜く。




…もしかして、怒ってる…?




「どうしてそう思った?説明してもらおうか」




朝比奈くんが低い声で言った。