じゃがいもの皮をむいていると、朝比奈くんが不意に隣に並んできた。



「ん?朝比奈くんどうしたの?トイレなら部屋出てすぐに左だよ?」



「いや…違くて。俺もやる。包丁借りるわ」




朝比奈くんは水切りかごにあった包丁をとると、目にもとまらぬ鮮やかな手つきで玉ねぎを刻みはじめた。




「えっ朝比奈くんうま…!どこで習ったの!?」



「別に…家でたまに料理するし」



「そうなんだ…!!」




こんなにイケメンなのに料理もできるなんて…!!!




「今日から料理王子って呼んでもいい!?」



「断る。というか手、止まってる」



「はい!師匠!!!」



「それもやめろ」





というか、こうして2人でキッチンに立っていると、なんていうか…




「新婚さんみたいだね♡」




その瞬間、なぜか朝比奈くんの手から新しい玉ねぎが勢いよく落下した。