勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。

コタロウくんとフリスビーで遊びはじめた九条さんを、


ぼんやりと見つめる。




夕陽に照らされた



九条さんとコタロウくんのシルエットが金色に輝いて、



胸の奥がなんだかもう胸がいっぱい。




「ほら、コタロウ、おいで!」




大きく飛び跳ねたコタロウくんを、



九条さんが笑いながら受け止めている。




いいなあ……。




夕陽に輝く九条さんとコタロウを幸せな気持ちで眺めていると、



にっこり笑った九条さんと目があった。




「彩梅もくるか?」




わわ! やった!




ぱっと立ち上がると



九条さんに駆け寄って、両手を広げて飛びついた。




「おい、彩梅⁈」




びっくりしている九条さんを笑って見上げて。




「わんっ!」




コタロウくんの真似をして、



ふざけてぎゅっと抱き着くと、九条さんは呆然としていて。




……あれ?





「……おい、彩梅」





両手をあげてフリーズしたままの九条さんに、



とっても嫌な予感。




「だ、だって、九条さんが『彩梅もおいで』って言うから!」



「そういう意味じゃねえだろ!」



「……ううっ」



「いいから離れろっ‼」



九条さんの瞳が、みるみるうちに鋭くなって。



こ、これは怖い‼



「ご、ごめんなさい~~~っ!」



ぱっと、後ろに飛び跳ねた。