勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。

九条さんよりカッコいいひとなんて、いない気がするけどな。




じっと九条さんを見つめていると。




「あ、これ、食ってみる?」




「え?」




「俺のポテト、じっと見てるから」




「あ、は、はいっ」




ホントはポテトじゃなくて、九条さんを見ていたんだけど!




勢いで、体をのりだして



九条さんのつまんでいたポテトをぱくり。





「……は?」




呆然としている九条さんと、



ポテトをくわえたまま至近距離で見つめ合う。





あ、あれ?





目の前の九条さんの顔が、かすかに赤くなっているような?





もしかして、……私、間違えた?





うわわわわっ!




慌てふためいていると。




「はい、どうぞ」




今度はちょっと意地悪な顔でポテトを差し出した九条さん。




「食べないの?」




「あ、あの、でも」




「ほら、彩梅、くちあけて」




ううっ……




「彩梅?」




こんなときに、甘い笑顔は見せないでほしいっ。




ぎゅっと目をつぶってパクリ!




恥ずかしいし、心臓爆発しそうだし!




正直味なんて全然わからない!




「ヤバイ、可愛い」




楽しそうに笑っている九条さんを涙目でちらり。




もう、恥ずかしくて倒れそうです……