勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。

「……九条さん、どうして笑ってるんですか?」




「いや、赤くなったり青くなったり、面白いなと思って」




……本当にひどい。




「あのさ、見合いのときにちょっと思ったんだけど、



彩梅って、もしかして男が苦手?」




ぎくり。




「……苦手、というわけではないんですけど、



緊張してしまって、うまく話せないことが、……多いです」




「まあ、ずっと女子校育ちなら仕方ないのかもな。



けど、しばらくは一緒にいる時間が増えるだろうし、



俺といることで少しは慣れていくといいな」




じっと九条さんを見つめて、強くうなずく。




「特訓します」




「特訓?」




「顔、赤くならないように、



男の人と普通に話せるように、頑張ります」




「そうだな、悪い男に騙されないように特訓するのもいいかもな。



今の彩梅を騙すのなんて、ものすごく簡単そうだから」




うっ。





「……西園寺家のためにも、頑張ります」





私のせいで西園寺家の未来を潰してしまうことだけは、


どうにか避けたい。




「頑張って」




くすくすとおかしそうに笑っている九条さんに、ふとたずねてみる。