勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。

店内を見回すと、綺麗な女の人ばかり。




高校の制服を着ている子たちもいるけれど、



みんな上手にお化粧をしていて、



華やかな日常がその姿からにじみ出ていて、



ちょっとだけ、羨ましい。




すると、ポテトをつまみながら九条さんが首をかしげる。




「彩梅は同級生の男と出かけたりしないの?」




「女子校なので、あんまり……」




出掛けるどころか、まともに話したことすらない。




「あの料亭の庭園で九条さんと歩いたのが初めてです」




「え?」




「あの日が初めてです、男の人と二人で出かけたのは。



あとはお父さんとか叔父さんとか」




すると、ものすごーく深いため息をついて、


ガシガシと九条さんが自分の頭をかきむしる。




「……あのさ、そんな状態で親の決めた相手と、



見合いで結婚するつもりなのかよ?」





「はい」





「お前、バカだろ?」





……ばか?




正面向いて、こんなこと言われたのは初めてで、



ぽかんと九条さんを見つめる。