お母さんから一部始終を聞いたお父さんは、



頭を抱えてソファに体を沈めている。




「九条ホールディングスの会長が



うちに来ているというから慌てて帰ってみれば……。



彩梅はまだ高校生だぞ? そんな勝手な理由で結婚だなんて……」





「でも、同じことをあなたは、真桜にしようとしてたのよ?」





げっそりとうなだれるお父さんに、



お母さんが鋭利な一言でとどめを刺している。





「そうだとしても、彩梅はまだ……」





ぶつぶつと呟きながら、しばらく考え込んでいたお父さんが、



まっすぐに私と九条さんに視線を向ける。





どんな解決策があるのかと、



じっと期待してお父さんを見つめると。





「とりあえず、婚約ということでいこう」





お父さんが腹を据えたように言い切った。




……はい?





……嘘だよね?