「あー、疲れた」




一区切りついたところで、大きく伸びをする。




「なにか、飲みますか?」




立ちあがった彩梅の腕をひっぱり、座らせる。




「ちょっと休ませて」




そう言って彩梅の膝に頭を置いた。




軽い気持ちで膝枕、と思ったものの、



彩梅からものすごい緊張が伝わってきて、



こっちまでなんだか変な気分になってくる。




すると彩梅の指先が前髪にふれて、



目をつぶる。




「ずっと、こうしていられたら、いいですね」




「……だな」




彩梅と暮らせるようになるまで、



あと何年かかるんだろう。




少なくとも、彩梅の大学卒業を待って、



自分の仕事を軌道にのせつつ、



親父の会社に正式に入社して。




「早く一緒に、暮らしたいな」




「私はいくらでも待てますよ?」




「ごめんな、俺が待てない」




クスクスと笑う彩梅は、



その意味には当然気が付いてない。




手を伸ばし、彩梅の頭に手を添えると、



彩梅の顔を自分に引き寄せる。




すると、唇をはなした彩梅がぽつり。




「今夜は、九条さんと一緒に寝てもいいですか?」




「は?」




「せっかく一緒にいるのに、別々に寝るのは寂しい」




そんな顔で甘えてくるな。




「あんまり安心すんなよ、俺だって男なんだから」




「でも、その、いつかは……」




はい、その上目遣い、反則。




殺す気か、ホントに。




「彩梅のこと、大切にしたいんだよ」




「いっぱい、大切にしてもらってますよ?」




「怖がらせたくないし」




「九条さんのこと、怖いなんて思いません」




マジでその顔、やめろ。




可愛すぎて、頭おかしくなるから。