勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。

夜中、変な時間に目が覚めた。




窓のそとは真っ暗で、



時計を見ると夜明けまでまだ時間がある。




九条さんの寝室をこそっとのぞくと、



九条さんはぐっすりと眠っている。




ちょっとだけ、寝顔を見てもいいかな……?




ドキドキしながら



そっと九条さんの眠っているベッドに近づいて、



しゃがみこむ。




髪の毛はさらさらだし、まつげは長いし……




綺麗な寝顔だな。




すっとした鼻筋に、薄く整った形の唇……




眠っていても、涼やかな透明感が漂ってる。




わずかに開いた九条さんの唇に、



その甘い感触を思い出して、ドキリ。




こうして九条さんと一緒に過ごせるなんて、夢みたい。




九条さんの寝顔なら、ずっと見てられる……




ふわあ……




静かな夜更けに、九条さんの寝息が心地よく響いて、




あくびがこぼれた。