ぎゅぎゅっと優しく抱きしめられて、



ついばむように唇が落とされて。




「彩梅、全然足りない……」



ふえっ⁈



九条さんの熱っぽい唇と吐息に


甘く攻め立てられる。



「……っ!! く、く、じょうさんっ⁈」




「特訓するんだろ? 



これくらいでへばってたら、これから大変だぞ?」
 


ううっ……
 


膝にちからが入らない……



卒倒寸前です……




九条さんから解放されて、



呼吸を整えていると九条さんが首をかしげる。




「そういえば、



彩梅のお姉さんって、このこと知ってる?」




「あ、そういえば、最近お互い忙しくて、



全然連絡してなかった!」




「彩梅のお姉さん、このこと知ったらびっくりするだろうな。



自分の見合い相手が、妹の婚約者になってるんだから。



俺、殴られたりしてな」




九条さんとくすくす笑い合うと、



季節外れに咲いた梅の花がふたつ、



太陽の光を柔らかく弾いた。