「九条さんと会えなくなって、すごく、……辛かった」




涙目でじっと九条さんを見つめる。




甘えてるのが半分、拗ねてるのが半分。




もう二度と九条さんに会えないと思うと、



夜も眠れなくなった。




ほかの女の人と歩いている九条さんを想像すると、



食事ものどを通らなくなった。




「なにも知らない彩梅を、



じじい達に流されるような形で自分のものにすることに



罪悪感があった。



俺と離れて、それでも俺でいいのか考えてほしかった。



彩梅に、自分で自分の人生を選んでほしかったんだよ」




「それでも私は、九条さんと離れたくなかった!」




じわりと浮かぶ涙を必死にこらえる。




「あー、もう、そんな可愛いことばっかり言うなよ!」




「怒ってるんです! 



どれだけ泣いたと、思ってるん……ですか!」




だめだ、決壊。




涙こぼれて、止まらない。




「泣かせてごめんな。



でも俺は、彩梅が可愛くてたまんない」




そんなこと言うなんて、九条さん、ずるいよ……