「わ、わわっ! ごめんなさい!」




慌てて起き上がろうとした彩梅の背中に、両手を回す。




「く、九条さん⁈」




「あのさ、マジで怒るぞ。



親いないときに男を部屋に連れ込むとか、絶対だめだし、



こんなことして無事でいられると思ったら甘すぎる。



もう少し自覚しろよ、ホントに」




必死に体を離そうとしている彩梅を、



一層強く抱きしめると彩梅の甘い香りにつつまれて、



大きくため息。




この状況、ホントにどうなってんだよ……




「あのさ、こうやって捕獲されたら逃げられないだろ? 



危ないってこと、もう少し学んで。頼むから」




「で、でも、九条さんだったら、私、逃げたりしませんよ?」




「それ、意味わかって言ってんの?」




こいつ、俺のこと殺す気か?




「マジで、ホントにもっとしっかりしろよ。



俺だって、そんなに大人じゃない」




「でも、九条さんが特訓してくれるんですよね?」




「……彩梅、頼むからこの状況で特訓とか言うな」




「え?」




ぎゅっと彩梅を抱きしめると、



そのまま回転して仰向けになった彩梅を



ベッドに張り付ける。




彩梅の両手を押さえつけたまま、



きょとんとしてる彩梅を、じっと見下ろす。




「あのさ、そんなことばっかり言ってると、



ホントに特訓するけどいいの?」




「……はい?」