「ここ、作るのちょっと難しかったんですよ」




俺の手にしているフォトブックをのぞきこむ彩梅の髪が、



ほんの一瞬、頬にふれる。




いつもは少し近づくだけでびくびくしてるのに、



自分の家にいて安心しきっているのか、



彩梅が近い。




ぐいぐいと無邪気な笑顔で、無自覚に近づいてくる。




「あのさ……」




「はい?」




「親がいないときに、男を部屋に入れちゃだめだからな?」




いくらなんでも隙がありすぎる。




「九条さんでも?」




「そうだよ。……つうか、



そんなことも説明しなきゃダメなのかよ。



なんか頭痛くなってきた」




「えっ! 頭痛ですか? 熱は⁈」




そう言って俺の額に手を伸ばした彩梅が、



そのまま勢い余って体ごと覆いかぶさり、



……見事にベッドに押したおされた。




はああ。




マジで勘弁してくれ。