勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。

「あ、私の部屋にあるので、来てもらえますか?」




さすがに部屋に入るのはまずいだろ。



「彩梅、ここで見るよ」




「……え? ごめんなさい、よく聞こえなくて」




「アルバム、ここで見るよ」




「はい? 九条さん、2階ですよ! こっちです!」




だから、そういうところが危なっかしいんだよ……!




親がいないときに、部屋に男を入れるとか、絶対だめだろ!




「九条さん、早くっ!」




ホントに勘弁してくれ。




はあ……




階段を上り切ると、



白いドアを開けた彩梅がひょっこりと顔を出す。




「こっちです、こっちです」




彩梅にうながされて部屋に入ると、



甘い香りに包まれる。