勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。

腕のなかの彩梅は



顔を真っ赤にして動揺してるけど、



もう知るか。




俺だって、そんなに余裕があるわけじゃない。




「あ、あの、九条さん!」




「いいから、俺の腕のなかで、おとなしくしておけ」




電車の揺れに任せて



彩梅を強く抱き寄せる。




こんなに火照った彩梅の顔を、



ほかの男どもに見られてたまるか。