すると、琉人が思わせぶりに目を細める。



「あのさ、弟の航がうちの高等部の2年にいるんだけど、



学年違うのに彩梅ちゃんのこと知ってたよ」




「は? なんで彩梅のことを?」




「このあたりの高校生の間では有名だってさ。



女学院3年の西園寺家の二女がめちゃくちゃ可愛いって。



告白すると、真っ赤になって下向いて、



なにも話せなくなる姿が可愛くてマジでヤバイって。



それを目当てに声かけてる奴もいるらしい」




あのバカ! 



完全に狙われてるじゃねえかっ!




「千里がうかうかしてたら、



あっという間に悪い狼に彩梅ちゃん食われちゃったりして」




「黙れ、琉人!」




思わず琉人の胸ぐらをつかむと、



呆れた琉人にパッとその手を払われた。




「落ち着けって。そんなに心配なら迎えにでも行けば? 



朝昼晩、彩梅ちゃんのパトロールでもしてろよ」




「ちょっと出てくる」




「……おい、マジで行くのかよ」




資料を鞄につめると、唖然としている琉人をおいて席を立った。




まったく、どこまで心配かければ気が済むんだよっ!



ホントに、目が離せないじゃねえか!




告白されて、真っ赤になってる彩梅の姿が目に浮かぶ。




あんなの見せられたら、



男子高校生なんて一瞬で堕ちるに決まってんだろ!




油断するにもほどがある。



そもそも、彩梅は自覚がなさすぎるんだよ!