こうして九条さんと



何気ない話をして過ごせる時間はとっても幸せ。



こんな時間がずっと続けばいいのにな。




「西園寺家には、女性ながらに独身を貫いて



西園寺家の事業の拡大に力を尽くした方がいるんです。



お父さん、その方のことをすごく尊敬していて、



その人の経営の才覚がお姉ちゃんにもあるって、



すごく期待しているんです」





その人と同じ「梅」という文字を名前にもつ私には、



特別な取柄も才能もないのが悲しい。




それならせめて、



結婚という形で西園寺家の役に立ちたいと思ってきた。




「彩梅のお姉さんは、



ただの研究員として渡米したわけではないと思うよ」




「え?」




「医薬品の開発は、



上手くいけば世界的な事業になるからな」



まさか、お姉ちゃんがそこまで?




「君のお姉さんは、



自分の能力の使い方をよくわかってるよ」




九条さんの瞳が楽しそうに輝く。




「九条さんも興味あるんですよね、経営とか事業戦略とか」




「俺の場合は、お家柄、仕方なく」




「あ、またカッコつけてる!」




「は?」