家に着いたところで、九条さんが私の顔をのぞきこむ。




「彩梅、だれかに連絡先聞かれたり、



連絡先を渡されたりした?」




なんのことか分からずに、目をぱちくりさせる。




「あの、連絡先、もらってないです。大丈夫です。



その、心配ですか?」




「西園寺のじーさんから直々に



彩梅のことを預かってるんだから、責任があるんだよ」




そっか、責任……か。




九条さんは、責任感が強そうだな。




「それじゃ、ここで。



あの、家まで送ってくれて、ありがとうございました」




「彩梅のお父さんに、挨拶してから帰るよ」




「え?」




「彩梅のお父さんと、少し話がしたい」




それから1時間ほど



九条さんはお父さんを待っていたけれど、



帰宅するはずのお父さんはなかなか帰って来なかった。




「ごめんなさいね、せっかく待っててくださったのに。



急に仕事が入って帰れなくなったなんて」




「また、日を改めてご挨拶に伺います」




玄関でお母さんと話している九条さんは、



急に大人に見える。