でもいつかは婚約破棄するのに。



変な噂がたったら、九条さんに迷惑がかかっちゃう。




大学最寄りの改札口についたところで、九条さんと向き合う。




「九条さん、本当にここまでで大丈夫です。



ありがとうございました」




言い終わらないうちに、すっと肩を抱かれて飛び上がる。




九条さん、どうしたんだろう⁈




今日はなんだか接触が多いような……!




こ、これも特訓のひとつ⁈




「家まで送る。男子高校生に告白されたら困るし」




「あ、あれは萌ちゃんが、ちょっと大げさに言っただけで」




「彩梅は鈍いから、いろいろ気づいてないんだろうな。



目に浮かぶよ。はあ……」




溜息、深い!




「あのさ、彩梅、もし……」




「はい?」




何度かためらって、九条さんが思い切ったように口を開く。




「いや、……いいよ」




やっぱり今日の九条さんはいつもと違う。




なにかを言いかけては、言葉を止める。




いきなり大学まで押しかけちゃったから、



さすがに呆れてるのかも……