「みんな、九条さんに興味があるんですよ、



九条家じゃなくて。



だって九条さん、優しいし、面白いし、かっこいいし!」




「面白いってなんだよ」




「さっきの話、面白かった! 



『九条の家がモテてるだけだ』って! 



モテて嬉しいって、素直に言えばいいのに!」




「だから、嬉しくないんだって」




口を尖らせる九条さんは、やっぱり面白い。




「それって『俺はモテてます』って言ってるのと同じですよ。



ぷぷぷっ! 



やっぱり面白い!……あ、痛い」




むぎゅっと頬っぺたをつままれて、



びよんと伸びた頬のまま九条さんを見上げる。




「俺にそんなこと言ってくるのは、彩梅だけだよ。



つうか、すげえ顔」




「……ひどいし、痛い」




すると、パッと九条さんがその手をはなす。




「ごめんな、頬っぺた少し赤くなった。



彩梅、色白だからすぐ痕が残るんだよな」




すると柔らかく笑う九条さんを、



周りのひとが、ちらちらと見つめている。